振り返ってみるとここは神社の裏のようだ。
「うっ、うっ……」
目の前には白いワンピースを着ている女の子が泣いていた。
これが……私?
その女の子は子供にしては浮き世離れした顔立ちをしている。
「またいじめられたのね?」
そこにはさっきまで私と話していたままの姿をしたひめさんが現れた。
「菊理媛っ!!……うわぁん!!」
「大丈夫。あなたは悪くないわ、紫織」
幼い頃の私はひめさんに抱き付いて泣いている。
この頃から私はひめさんにそっくりだったんだ……。
ひめさんは私を優しく抱き締めて背中を撫でてくれる。
「なんで…私には…ヒック……お母さんと…お父さんが…ヒック…いないの……?」
その言葉を聞いたひめさんはとても悲しそうな目をした。
「紫織のお母さんとお父さんはあなたを産んだ直後に交通事故で亡くなってしまったの」
「嘘っ!!……だって、みんな……お母さんと……お父さんは……ヒック……私のせいで……死んだんだ……って言ってた……もん…ヒック……」
ひめさんはすごく切なそうに私を見て言った。
「あなたのせいじゃないわ。私があなたに嘘をついた事はないでしょ?だから信じてちょうだい」
「……うん」
幼い頃の私はひめさんを抱き締める手に力を入れた。


