Memory~記憶の欠片~






気がつくとそこは何もないただの空間だった。


誰もいない。


少し歩いてみても何も変わらない。


進んでいるのかさえ分からない。



「こんにちは」



後ろから突然声が聞こえた。



「っ!?」



振り返るとそこには私に瓜二つの着物姿の女の人が立っていた。


夢だと分かっていてもびっくりする。


でも、何故だかすごく懐かしい気がした。



「…あの、あなた誰なんですか?」


「私はあなたの先祖の菊理媛(ククリヒメ)よ」



くくり ひめさんはにこやかに自己紹介してくれた。



「くくり ひめさん?」


「そうよ」



ひめさんは微笑んだ。



「私は神城 紫織です」


「知ってるわ。私はあなたに確認しに来たのよ」



そう言うとひめさんは少し悲しそうな顔をした。



「何の確認ですか?」



そして、私の目を見て言った。



「それはもちろん記憶を取り戻すかの確認よ」


「えっ??」