「(女の子だ…)」
あまりのその愛らしい笑顔に胸が高鳴った俺。
俺と零と同い年くらいにも見える。
それと同時に聞こえた。
「さすがです、お嬢様」
もう片方の人、女の子と同い年くらいの男と思われる人が言った。
「(お嬢様…?)」
「おい、刹那」
「へ?」
「へ?じゃねぇよ、行くぞ」
「あ、うん」
零の呼び掛けに俺は我に返り、皆を追いかけた。
「「「ようこそ、おいでくださいました」」」
屋敷に入ると、メイドや執事がズラリと立ち並んでいた。
まるで初めてセントラル学園に行った時みたいに。
先頭を歩く男はその間を何事もなかったかのように淡々と歩いて、階段を上っていく。
「す、凄いなぁ…」
「そうか?」
「そうだろ…」
「普通じゃね?」
そう言って零はダルそうにあくびをしながら前に続く。
「(あ、そっか。零も一応お坊ちゃんなんだよな…)」
階段を半分程上って下を見て思った。
やがて色んなところをクネクネ言ったり、曲がったりして、ようやく着いた俺たちの部屋。
とは言ったものの、皆を別々の部屋だった。
男は帰っていき、俺たちだけを廊下に残した。

