玄関に座り、靴を履く。
すると背後から母さんが近付いてきた。
「セーちゃん、朝ごはん、ありがとう!美味しかったわ♪」
「なら、良かった」
母さんに笑顔を向け、立ち上がった。
「じゃ、行ってくるね」
「帰ってきたら一緒に肉じゃが作りましょ?」
「うん」
俺はドアを開けて家を後にした。
これが俺と母さん、いや。
家族との思い出の終止符だなんて。
今の俺には、知るよしもなかった。
「悠太、大丈夫かなー?」
『心配などない』
「まあ、昨日だって最終的には寝てたしね」
俺は早めに出たので余裕ができる。
だからいつもよりゆっくり歩きながら登校中。
周りにも人はあまりいない。
携帯の時計を見ればまだ《6:20》と出ている。
「(昨日と引き続き早起きだな、俺)」
『それはきっと我のお陰であろう』
「(なんで?)」
『妖魔との交流があれば人はあまり寝なくとも苦悩が減ると言われている』
「ふーん…(苦悩ね…)」
俺は立ち止まり空を見上げる。
空には雲が重く、のし掛かっているように見えた。
妖魔との交流があれば、苦悩は減る。
ならば、今俺が抱えているのは苦悩ではないこと。
でも。
俺は酷く、苦しみ、悩んでいる方だと、感じている。
悠太や涼子。
兄貴と兄貴とつるむ悪い奴等。
そして、ブレイクのこととか。

