「晃汰、肉じゃが嫌いなのか?」
そう言ってコーヒーを飲む父さん。
兄貴はブンブン首を振り「違うよ」と言って、笑顔を作った。
「母さんの肉じゃがは大好きだよ」
「じゃあ俺と母さんが作ったのが嫌なのっ!?」
突然割り込んだ俺。
明らかに今、兄貴は失礼なことを言った。
母さんの作った肉じゃが、は、好きだって。
なら俺が手を加えた肉じゃがは嫌だって言っているのと同然。
「違うよー、刹那料理上手だから嫌いなわけないよー」
「はは……だよなー…」
でも、傷付いた。
チーンと聞こえそうな気がする。
すると母さんが楽しそうに聞いた。
「明日何かあるの?」
「うーん…、夜ね飯食べに行くんだー」
その言葉に誰もが喜びながら聞き返した。
「涼子ちゃんと!?」
「涼子さんとかい!?」
「リョーと!?」
「…」
聞きたいことはみんな同じ。
そんな俺たちをがた落ちにさせるように兄貴は言った。
「違う、よ…。友達、友達だって」
その時何かがざわめいた。
「(…あれ…?)」
胸の中で何かが突っ掛かる。
モヤモヤと。
背筋がなんとなくゾクゾクと。
―「……連絡が取れなくなっちゃって……」―
涼子が保健室で言っていた。
今にも泣きそうな顔で。
「(……なのに、兄貴は…)」
「なんで友達なのよーつまんないなー」
「……涼子さんとなら見に行ったのになーー……あっ」
父さんと母さんは気づいていないと思うけど。
「(俺は気付いてるんだよ、兄貴…)」

