反射的に目を瞑ったが、一向に当たらないオノ。
正しくは何も起きていないかのようにも見える。
そっと、目を開けてみる。
「!?」
なんだろうか。
表現のしようがない。
俺を覆う膜が巨大なオノを火花のようなものを散らしながら受け止めている。
「こっ、これは……!!」
高い声が響いた。
女性の声のようだ。
俺が女性を見ると、女性は舌打ちをして後退りをした。
「……ライド、撤退よ」
「…………はい…」
ライドと呼ばれた巨人はオノを膜から外し、かついだ。
ただ俺はその光景と出来事に頭がついていかない。
「(……な…)」
女性とライドは俺に背を向け、屋上のフェンスに足を掛ける。
そして女性は振り向いた。
「…また来るわ、坊や。……そして、大魔王様も…」
女性は俺に投げキスをして、ライドと共に屋上から飛び降りた。
「(………なんなんだ…?…意味がわからない…)」
冷静な対応をとることに必死で、流れがわからない。
大魔王様。
女性。
ライド。
膜。
わからないことが多すぎだ。
それに。
「(なにが起きているんだ…?俺、なんかしたのか…?)」
『主よ』
「!!」
突然の声に体を跳ね上がらせる。
『主よ、我は―――』
「いい加減にしろよっ!!」
俺は怒鳴った。
屋上には悠太をかつぐ俺しかいない。
だから。
端から見れば十分おかしい人にも見えるが。
今の俺には構わないことだ。

