「ねぇ……坊や…?」
「そ、それは……」
俺は女性の手を掴み、顎から離す。
すると女性は嬉しそうに、けど怪しげに笑う。
「(…そもそも、大魔王って…一体なんのことを………………っ!!)」
その時、ピンッと何かが反応した。
この女性が言ってること。
それは。
“『汝』”
あいつだ。
けど。
「(どうやって取り出すんだよ!!)」
「坊や」
固まる俺にだんだんイライラしてきたのか、女性は目を細め、低い声で言った。
「決まったかしら?」
でも正直の話。
「あの、悠太の命は渡せないけど、大魔王とか正直、全く意味がわからないんだけど…」
すると女性はブチッと何かを切らして恐ろしい顔をして大声を張り上げた。
恐ろしい顔なのに、女性はどこか愉しそうにも見える。
「よく言ったわ!!!坊や!!!アナタが死にたがりだってことがよく分かったわ!!!」
「っ!!」
さすがにその声のボリュームには腰が抜けた。
けど。
なぜだろうか。
なんか。
なんとなく。
いや。
全く。
この女性が怖いだなんて、感じられない。
「その小僧と一緒に死ねぇっ!!大魔王!!」
すると背後の巨人が動き出した。
俺の頭上めがけて、巨人は巨大なオノを降り下ろした。

