「は?」
我ながら恥ずかしい返答。
悠太を見れば、気を失っていた。
女性の髪がサラリと金を輝かせる。
動かない女性から目が離せない。
まるで時間が止まったようだ。
「あ、えっと……」
「……御迎えに挙がりました。夜月刹那様…」
「………は?」
すっとぼけた返答。
だけど女性は口を閉ざし、俯いたままだった。
「(…御迎えに…?)」
『奴の真の目的は我だ』
「(どういうことだよ?)」
『……取り敢えず、退くことが善であろう』
俺は心(?)の中に響く低い声(っつか、もう慣れた)に従い、青ざめた悠太をかついだ。
じんわりと漂う血の匂いに顔を歪める。
「(悠太……)」
これは悠太のためだ。
早く。
一刻も早く手当てをしなければならない。
だから……。
俺は女性を睨んだ。
「……残念ながら、俺は迎えなんて待ってなんかいない。いや、それ以前にアンタを知らない。帰ってくれない?」
俺はきびすを返し、女性に背を向ける。
だけど。
ガチャン
「!!??」
ある音と共に、俺は大きなものの影に、身を呑まれる。
俺はあまりのそのデカさと、すさまじさに言葉も出ない。
重そうな鎖の手錠。
足首に食い込む足枷。
汚い破れた服。
飛び出しそうな、緑色の目。
所々、擦り切れて血の滲んだ肌。
そして何より。
巨人のようにデカイ体。
「(なっ、なんだよ!コイツ!!)」
「あ~あ、残念」
背後から聞こえた女性の声に俺は身を震わせた。

