「だから……」
再び旦那様は頭を下げた。
「我が娘、朱端楓、いや―――松竹梅楓を、よろしく頼むっ…!!!」
旦那様は顔をくしゃくしゃにしながらそう言った。
暖かい家族だ。
そう感じた。
それと同時に俺自身の家庭を思い出す。
暖かくて、でももう、戻れない家庭を。
俺は迷うことなく返事をした。
「…わかりました」
松竹梅の人たちに送られ、俺たちは馬車に乗り継ぐ。
お別れに楓は旦那様と奥様と湖乃美と抱き合い、馬車に乗り込んだ。
楓と共に時雨もセントラル学園に向かうことになり、時雨も皆と握手を交わしていた。
「時雨」
「はい、旦那様」
時雨は旦那様に呼ばれ、小走りで寄った。
「これを持っていけ」
「これは……?」
「松竹梅家に古くから伝わる木刀だ、持っていけ」
「でもっ…」
旦那様は時雨を抱き締めた。
「……お前も私たちの大切な息子だ。家族だ」
「旦那様…」
「楓を頼むぞ、時雨」
「はい、だんなさ……お父様…」
お父様と呼ばれた旦那様は恥ずかしそうに笑い頭をかいていた。
「あ、ズルーイ時雨ー!!あたしもーー!!」
楓は笑顔で言った。
「お父様、お母様、姉様、皆……今までありがとう!!」
楓は最後にそれを言うと、振り向かずに馬車に乗り込んだ。

