悠太は笑顔で俺に近寄る。
ポケットに手を突っ込みながらヨタヨタと。
「隣、いいか?」
「……おう…!」
俺は精一杯の笑顔を浮かべた。
悠太はそれに答えるようにニッコリ笑うとベンチに腰を下ろした。
ギシッと軋むベンチの音が少し俺を安心させる。
「いいねえ、サボりって」
「だろ!?なんか解放感あんだよなーー★」
足をバタつかせ目を細め空を見上げた。
「…」
隣に座る悠太は俺を見つめ、黙り込む。
「ってかさ、授業は体育だけでいいっつーの!あ、でも保健体育は必要!じゃあ…2つ必要なんだ!」
あはははと、1人で空に向かって笑えば、悠太は閉ざしていた口を開き出す。
「……何、抱えてんの?」
「は…?」
俺は反射的に悠太を見た。
「バレバレだっての」
「……」
悠太は足を組み、俺とは目を合わせようとせず頬杖をついて目の前を見ていた。
ただ一点を、睨む。
そんな悠太に俺は少々引きぎみになり、喉を詰まらせる。
はぁっと。
悠太は溜め息を吐いた。
「何年友達やってると思ってるワケ?」
友達。
その言葉に胸が熱くなる。
確かに俺と悠太は小学校から仲がいい。
それに悠太は俺の世話係りになっていた。
だから悠太にはかなり。
いや。
言葉に表せられない程、世話になっていた。
だから。
いつしか迷惑じゃないかって、思ったりもしていた。
でも、悠太は。
友達だ、って。
そう言ってくれた。
「悠太…」
「うわっ、何ウルウルしてんだよ!!気持ち悪い!!」
「ゆーたー!!!!」
俺は悠太に抱きついた。

