「(俺に、変わろうとしている人を止める権利はない…)」
俺はタキシードの中に着てるブラウスのボタンを2つ開け、リボンを緩めた。
『まとまったようだな』
「あぁ…」
小さく深呼吸をした。
「……前に進もうとしてる人を、俺は止めない。だからといって、手助けをしようとは思わない。進む道が茨の道だとしても、それを進む姿を……俺は見届けたい…」
『………成長したな…』
この時、俺の胸元にあるペンダントが光ったことなんか、俺はしらない。
俺は笑顔で舞台を見つめた。
『明日、セントラル学園に戻るからな』
その言葉に頷いた。
そして俺は今晩の舞踏会を楽しむことにした。
俺も零も時雨も、楓も…。
翌日。
早く起きてしまった俺は、ブレイクを部屋に残し廊下に出た。
廊下は静まり返っていて、俺の足音だけが虚しく響いていた。
「これはこれは、刹那様」
振り向けばにこやかに笑う、松竹梅家の旦那様。
「おはようございます」
俺は頭を下げた。
「頭を上げたまえ。そうだ、ここじゃアレだ。私の部屋に来て話でもしようじゃないか」
そう言われ、俺は旦那様についていった。

