「でもな、辛くて苦しい過去を、ずっと引きずってちゃいけない」
「…」
「(零……)」
それは前に俺が零に言っていた言葉だった。
「前に進まなきゃならねぇ。強くならなきゃならねぇ。別に忘れろなんて言わねぇよ。その辛いこと全てを糧にして、乗り越えるんだ」
「……僕…は…」
「ん?」
「僕は……強く、なれるのでしょうか…?」
零は微笑んだ。
「当然だ、ばか」
そう言って零は時雨の頭をくしゃくしゃ撫でた。
「お前はもっと強くなれる。……大切な人を守れるくらいにな…」
「……はい…っ…」
時雨は涙を流した。
零は微笑み、楓に寄った。
「時雨…」
「お前は幸せだな」
「へ…?」
「こんないい奴に守られてて」
「……」
楓は泣く時雨を見つめた。

