「誰かおるのか?」
「……」
「K?」
「四神の民」
「しじんの、たみ…?」
4人はその家に土足でズカズカと入る。
そこには怯えた少女と少年。
時雨と楓だ。
「やっ…」
楓は目に涙を浮かべ、時雨に抱き着く。
時雨はただただ4人を睨み、歯を食い縛っていた。
「……そちの瞳、憎しみと恨みの色をしている」
赤い髪の男は時雨に手を伸ばした。
「黙れっ!!!」
時雨は声を張り上げ、持っていた小刀でその手を切りつけた。
ピシャッ
飛び散った血に、楓はまた小さく震え出す。
時雨はルイスによって蹴り飛ばされ、口から血を吐いた。
「そちか?」
「っ!」
「そちが、四神の民か?」
赤い髪の男は楓の頬に血塗れの手を添えた。
「やっ……」
「楓に触るなっ!!!!」
「うっせぇ」
ギシャッ
鋭い音が、響いた。
飛び散る血液は、もう救い用のないくらいだった。
外は、火の海。
血液の生臭い匂いが充満し、人々は焼かれ、死ぬ。
でも、どうして。
どうして4人―――コイツらはこの状況を楽しみ、平気でいられるのだろうか。
時雨は思った。
“コイツらを殺せば”そんな事を思いながら。
一人の男が時雨に寄り、睨み、剣を突き付けた。
だが赤い髪の男は楓から離れない。

