その言葉に時雨と女の子は驚いて、こちらを向く。
「あのさ、愛しあってんのは別に構わねぇけどよ、オレと刹那は今ココにいんだよ」
「あっ、愛しあってなんかっ!!!」
女の子は顔を真っ赤に染めて叫んだ。
そして時雨の腕から逃れる。
「時雨はただの護衛人っ!!そんな関係じゃないもん!!」
そう言って女の子は顔を手で覆ってしゃがみこんだ。
「……(何こいつ、マジ、ウケるんだけど)」
零はそう思い、目を細めて小さく笑った。
「刹那………」
すると時雨がポツリと俺の名前を呟いた。
それに俺たちは気付いた。
「時雨…?」
「お嬢様……覚えてますか…?」
「…?」
「あの“紅い夜”、敵軍にいた奴の言葉を…」
「……………っ…!」
時雨の言葉に女の子は何か思い出したように、青ざめた顔で頷いた。
「なんだよ、“紅い夜”って……」
俺は聞き返した。
時雨は言うのを躊躇ったが、深呼吸してから話し出した。
「それはまだ、お嬢様も僕も、幼かった頃です――――」

