零の部屋。
「つーか…」
零はクローゼットの中を見つめたまま硬直している。
なぜならそこに並ぶのは、いかにも高級そうなタキシードばかり。
だが、見慣れている零は溜め息を吐きながらタキシードを見ていた。
「全部一緒じゃねぇかよ!!!」
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俺の部屋。
「うーん…」
零と同じようにクローゼットの中のタキシードを眺めていた。
眩しいタキシードにやられ、くるくるとベッドに倒れ込む。
「はぁ~…」
なんとなく疲れた俺。
壁にかけられた高級そうな(まあ時計だけじゃないけど)時計は3時を表していた。
「(暇だなぁ…)」
ベッドから起き上がり、小窓を覗く。
「あ…」
下を見ればさっきの女の子。
傍にいた男は女の子を眺めて、女の子は本物と思われる剣を握っていた。
「(危ないな…)」
すると女の子は剣をぶらんと垂らし、ピクッと体を反応させ、固まった。
「(どうしたんだろ…)」
そう思ってもっと目をこらし見つめてみる。
その時。
女の子は突然顔を上げ、上を見上げた。
「(!!)」
確かに合った目。
俺は慌てて小窓から離れ、ベッドにお尻を着けた。
「(びっくりした…)」
すると次第に速くなる鼓動に気付き、胸を抑えた。
「(なんだろう、この、感覚………)」
この時、零に出逢ったときのような胸騒ぎが、俺を襲った。

