一時間目は国語だった。
ま、俺はお構いなしに寝るけど。
でも。
なぜか今日はなかなか寝付けなかった。
二度寝をしたせいかな?
瞼は開いたままだ。
仕方なく、俺は溜め息を吐き、窓の外を見る。

「(!?)」

そこには、いや、空中に変なモノが飛んでいた。
モノじゃない。
あれは……。

「……人だ…」

どうして。
なんで。


「…どうかしたか?」

悠太は控えぎみに後ろを見て、俺に問う。
俺は窓に向かって指を指した。
そして震えた唇で言う。

「人が…空に…」

「は?」

悠太は俺の言った通りに窓越しに空を見た。
だけど悠太は哀れんだ目で俺を見る。

「なんもねーよ」

「…え…?」

俺はもう一度空を見直す。
だが。
人はいなかった。
俺は椅子からガタッと立ち上がり、ベランダに出た。

「っ」

空を仰ぐように眺めてみるが、人のような気配すらなくなっていた。

「(あれ…?)」

「おい、夜月。座りなさい」

先生は俺に注意をする。

「あ……うん」

俺の戸惑った態度が面白かったのだろうか、クラスの皆は笑い上がった。
だけど、悠太だけは違う。
不自然に黙り込み、注意をすんなり聞く俺を怪しんでいた。