龍太SIDE

――さっきさぁ、佳主馬と梨桜が一緒に体育館の裏に行くの見たよ。

 さっき、美穂が言っていた言葉が、脳裏から消えない。

 佳主馬の奴、梨桜に何をするつもりなんだろう…。

 俺は、昇降口で靴を履きかえた。

 体育館裏まで、走る。

「…忘れさせてやるよ…龍太のこと。だから、俺のことをずっと見てろ」

 佳主馬の声が、聞こえた。

 まさか―――。

 俺は、体育館裏を覗き込んだ。

 背伸びした梨桜と、佳主馬が、唇を重ねていた。

 しかも、激しい方のキスをしている。

「…っ…」

 見ていられなくて、俺は、その場から逃げだした。