社長には堕とされません




古都ちゃんの姿を見るなり



「高城くん!コレ!!君のために買ったんだ!!」



親父は慌ててドレスの箱を俺の手から奪い返して古都ちゃんに近付いた



「??何ですか?」



お茶の乗ったお盆をテーブルの上に置き


不思議そうな表情を浮かべて箱の中のドレスに手を伸ばした古都ちゃんは



「………え゙、」



ドレスを広げて顔を一瞬歪めた



「高城くんに似合うドレスを…っと思って

何軒もブティックを見て回ってやっと見つけた物なんだ、

気に入らないかもしれないが……いや、着なくても良いから貰ってくれないかな?」



この時俺は



”お父様。誠に申し訳ありませんが、こういった品物はお受け取り出来ません“



って、きっと古都ちゃんならそう言って冷たく断ると思った



なのに




「とっても素敵です。ありがとうございます」




………はぁ?




古都ちゃんは俺には見せたこともないような

めちゃくちゃ可愛い笑顔を浮かべて親父からドレスを受け取った