【ぼぉいずらぶ短編集】

「ふぅ。」

鍵もちゃんと閉めた。

「さ、帰るか。」

「はい。」

ニコッと朱鳥は笑う。


・・・ん?


なんだ“この感じ”は・・・。

「・・・櫻田先輩?」

「うわっ!・・・おっ、おう。」

「?」

俺はその気持ちをかき消すように苦笑いを
した。

すると、ケータイが鳴った。

なんか・・・よし。

色々とタイミング良すぎ。

あ、電話。

「ちょいゴメンな。」

「はいっ。」

あー・・・かわい。

あ?“かわい”?

『もしもし?』

「あっ!はいっ!もしもし?」

『?どーしたんだ、一真。』

「あ・・・。」

聞き覚えのある声。

むしろ覚えてなきゃいけない声。


*love✿flower*店長の宮野大輔さんだ。


「あっ、店長!」

すると隣で店長さん?と首を傾けて俺に言
う朱鳥。

「あ・・・それでなんですか、店長?」

『あ、そうそう。俺いま輝といんだけどさ
 ~。』


輝さん。本名、早川 輝さん。

宮野店長の恋人。

そして、男。

つまり・・・俗にいう“ホモ”なのだ。


わかってはいても、やはり動揺する。

「はっ、はい。」

『今、店の近くに飲み屋いんだけど来るか?』

「え?俺なんかいいんすか?邪魔になるだけっ
 スよ?」

「いいんだよ。なんか輝今日電話ばっかだし。」

きっと、会社のなんかだろう。

理解してる宮野店長だが、それでもつまらないの
だろう。

店長が唇を尖らしている表情が安易に思い浮かべ
られる。

「じゃあお邪魔させてもらっていいっスか?」

『おう。あ、そうだ。確かお前とシフト一緒なの
 朱鳥だよな?』

全員の通勤時間を覚えている店長はやっぱすげぇ。

「はい。そっスよ。」

『よしっ!じゃあ朱鳥も連れてこい!大丈夫だろ?』

「あ、聞いてみますね。」

ケータイのマイクの方を手で抑えて、朱鳥の肩を叩
く。

「ん?あっ・・・・すみません!なんですかっ?」

焦ってら(笑)

「宮野店長が輝さんと飲み屋にいるんだけど来るかっ
 て?どうする?」

「えっ、でも僕まだ・・・。」

「19なのは知ってるよ。ちょっと楽しんで・・・だろ
 ?」

俺は不敵に笑ってみた。

すると、朱鳥はクスッと女みたいに笑って、

「じゃあ今日だけ♪」

と口元に人差し指を立てた。

なんつー可愛さだ・・・。

もう認めざるをえねぇよ・・・。

あの女の客達が騒いでんのも一理あんな。

「じゃ、行くか。」

「はいっ!」

俺らは店長たちがいる飲み屋に向かった。