「紀一の部屋って、一人部屋だったよな?」



「うん。紀一の部屋で、生活させんの?」



お父さんは頷いた。



「だから咲から、紀一に頼んでほしい」



「んなの、お父さんがすればいいでしょ!」



やだよ。



都築のために頭下げるなんて…。



「俺は今から仕事に行く。だから無理だ」



って、呆気なく断られた。



そして



「紀一、頼む!紀一しかいないんだ。ダメか?」



都築のために頭を下げるはめになってしまった。



「お嬢。頭を上げてください。わかりましたから…」



「ホントか?紀一。お前はいい男だ!!それじゃ、都築を呼んでくるな!!」



さすが紀一だ。



大門組に紀一が居て良かったと、アタシはこの日ずっと思っていた。