それから数十分後。
カリカリとノートに文字を書き付ける手を休めて教科書をめくろうとしたとき、少しだけ隣を窺うと頭が下がっていた。
さぞ一生懸命ノートを取っているのだろうと黒板に視線を移しかけてふと思う。
……寝てない?
5分程前に見たときも、確か同じような体勢でいた気がする。
もう一度、今度は注意深く颯人を見ると、
──寝てる。
授業中だというのに、とても幸せそうな顔で寝ているので思わず見とれてしまった。
起きているときにも増して悲惨な、絶対に見られたくない桃の寝顔と違って、颯人の寝顔はとても綺麗だ。
人間って、不公平に出来てるよね。
なんて、ちょっと哲学っぽいことを考えてみたり。

