── 「あー……」 桃の隣からいかにも、やっちゃった、ような声が聞こえてきた。 「ど」 うしたと、と言い終わる前にチャイムが鳴ってしまった。 「チャイム鳴ったし。 あーーあ」 一層うなだれた気配の颯人に今度こそ桃は声をかけた。 「どうしたと?」 颯人は桃の方を向いて困ったように眉を寄せた。 「教科書忘れた」 それは……大変だ。 颯人はそれからもひとしきり荷物や机の中を捜索してから、困り切った顔で桃の方を見た。 「ごめん、教科書見してくれん?」