へらっと、力なく笑った桃を見て、颯人は自分の頬を両手で挟んだ。 「可哀想に。 で、谷森さんの本名なんやったっけ? もんちゃん強烈過ぎて忘れた」 恐るべし“もんちゃん”。 「谷森……桃、です。」 「もも、ってあの桃?」 「あ、うん。木偏の……」 「へぇ。綺麗やね、俺桃の花好きっちゃん」 さり気なく言われたにもかかわらず、桃の耳はその言葉を正確に拾った。 “桃”と聞いてだいたいの人は果物を連想するだろう。 しかし、実は桃の名前の由来は桃の花。 桃の母方の祖父母の家の庭に咲く桃の花だ。