独りごとのあと、不意に過去の『失敗』を思い出す。
忘れようとして、ビールをぐいぐい飲む。
缶ビールはすぐに空になった。
ぐしゃり、と握り潰してテーブルへ放る。
ひしゃげた缶はいびつに一回転して、タマがきれいに並べた空き缶の壁の手前で止まった。
ポチはほっとした。
それから、頭を数回振って、思考をタマから引きはがす。
「……明日、あのマンションへ行ってみるか」
思考は自然と仕事のこと――自殺のあったマンションのことになった。
そのままソファーに横たわり、天井をにらむ。
「防犯カメラの死角を実際に確認して、例の9部屋の居住者のことも調べみよう。……これはただの自殺では――」
自殺ではないかも知れない……。
もしそうだったら、課長からまた怒鳴りつけられるだろう。
仕方ない。
それに業務外のことだから、休日出勤にもしてくれないだろう。
仕方ない。
タマは来るなと言ってもついて来そうだな。
仕方ない……。
――ポチは眠りについた。
(第二章へ続く // 近日公開予定。乞うご期待・拝)
追記:ポチのスピンオフ作品を公開しました。
TOP検索窓より「痛い恋」でヒットします。
タイトル「痛い恋かな?」です。
ぜひお読みください。



