「そういう問題じゃない――って、おい!」
ポチの苦情を無視して、タマは勝手に寝室へ姿を消していった。
「じゃね、おやすみ~」
ドアから手だけを出して、一振りしてからバタンと閉めた。
「あああああっ! またかよ!!」
ポチは頭をかきむしった。
タマは少なくとも月に一回か二回、多ければ毎週末、ポチの部屋へ泊まる。
今夜と同じように、いつも勝手に来て勝手に泊まっていくのだ。
テーブルには、パイプ型キーホールダーのついた合鍵――タマが勝手に作った――が転がっている。
キーホールダーは、ポチがロンドンへ行った際に、有名な名探偵の博物館で買ってきたお土産だった。
ポチがこの合鍵をタマへ渡しているのなら、勝手に出入りしたり泊まっていくのも分かるが……。
窓から投げ捨ててやりたいが、どうせすぐに新しい合鍵を作ってくるだろう。
「――まったく」
ポチは冷蔵庫からよく冷えた缶ビールを出した。
ソファーに座り、缶を開けて、ぐいっと飲む。
「プハ~! ――あいつがいたんじゃビールも飲めやしない」



