ポチはお構いなしに続ける。
「そして、三時間ほど経ってから、屋上へ行き……『転落死』を遂げた」
「そうね。わざわざ死角を通るなんて、自殺じゃない可能性があるわ。遺書もないし」
「遺書どころか、所持品がないというのも気になるな」
「ン。お財布やケータイを持ってないっていうのも変よね」
「しかし、勤務先の社長の話から、警察は自殺と推定した」
「ン~、それも現実的な流れよね」
「でも、引っかかるな」
「そうね……、ふぁ~あ……」
タマは大きなあくびをした。
テーブルの上にはビールの空き缶が数本、几帳面に並んでいる。
ポチは冷ややかに言う。
「もう遅いぜ。帰って寝れば?」
タマは両手をあげて、ぐ~っと伸びをしている。
「ン~~~、めんどくさいからここで寝ていくわ」
「は?」
「大丈夫。ちゃんと着替えも持ってきてるし」
タマは部屋の隅に置いたボストンバッグを指さした。



