ポチタマ事件簿① ― 都会のツバメ ―

 
 タマは推理を続ける。
「鈴木さんは誰かの家を訪問し、三時間ほど滞在してから、屋上へ行って飛び降りた――ってこと」
「え!?」
「鍵のかかってない空き部屋に潜んでいたのなら別だけど」
「空室はないよ。――でも誰かの家に上がりこんでいたとしても、出入りはカメラに映っているはず……。あっ、そうか!」
「うん。それよ」
「まだなにも言ってないよ。――元・理事長の部屋、いや、そこと『同じ位置の部屋』なら、人の出入りは映らない……」
「ハイ、よくできました。パチパチパチ」
 タマの幼稚園の先生じみた口調に、ポチは露骨に嫌な顔をしてみせた。
 しかし、それ以上の無駄な抗議はしなかった。
「……鈴木氏がいた可能性のある部屋は、元・理事長の部屋と同じタイプだから、1階と11階を除いて……2階から10階の9部屋か」
「そういえば、11階にはエレベーターの向かい側に部屋がないのね?」
「そこには部屋――というか、建物自体がないからな」