ポチタマ事件簿① ― 都会のツバメ ―


「テレビで見たんだけど、自殺する人が数時間くらいウロウロするんだって」
「そうね。それか、『考える人』するか」
「ロダンの? まあ、そうかもな。座り込んでずーっと考え込むかも」
「マンションの中じゃ、どっちも目立つよね?」
「……あ、そうか。カメラに映らず、目撃もされないっていうのもおかしいな」
「でしょ? ン~、たとえば――」
「たとえば?」
「鈴木さんはカメラや目撃者を避けて約三時間、マンション内に潜んでいた。人生に迷いながらも、最終的には屋上へ行き、飛び降りた……」
 タマはポチをちらりと見た。
 その表情は、ポチに反論をするように要求しているようである。
 ポチは要求に応じることにする。
「ちょっと不自然だよな。いくらカメラの死角にいたとしても、三時間も誰にも目撃されないなんて」
「でしょでしょ? ということは――」
「うん、ということは?」
 ポチは身を乗り出した。
 ここからがタマの本当の推理のはずだから。