タマは笑った。
「夕食の準備で忙しい時間って、いろいろと忘れちゃうのよね。宅配便が来なかったことなんか」
「ああ、主婦か。そう言えば、ウチのお袋もよくウッカリ忘れてたな……」
ポチは実家にいた頃のことを思い出して苦笑した。
「ン~、お母さんは仕方でしょ。あれだけ忙しい人だもん」
タマはポチの母親の肩を持った。
早くに亡くした母親の代わりのように思っているのだ。
ポチは母親の話をしたい訳ではないので、話をマンションへ戻す。
「忘れていたわけではなくても、来なかった宅配便のことなんか、警察にわざわざ言わないかもしれないな。それに、もし言ったとしても、警察の方で無関係として取り上げないかもしれない」
「うん、そうそう。よくできました」
タマはできの悪い生徒を褒めるように言った。
ポチが何か言い返そうとしたが、タマはお構いなしにテレビを指さす。
防犯カメラの映像が動き出していた。
タマが一時停止を解除したのだ。
――映像の中の鈴木は、開いた自動ドアを通って、エレベーターの方へ移動する。
そしてエレベーターの中へと姿を消した。



