「……俺の靴箱に、チョコ入れた奴がいたんだ」
先輩のハスキーな声が、優しくわたしの耳に届く。
それにまた涙を誘われながら、わたしは黙ってうなずいた。
「中見たら、手紙がねぇ。名前くらい書けよと思いながら箱開けたら、やたら凝った小せぇケーキが入ってた」
そっか。
すぐに中を見てくれたんだね。
見ないで捨てられちゃう可能性もあったから、それだけでうれしい。
「で、学校出たら、麻美がいて。チョコ渡された。断ったらあいつ泣きやがって。しょうがなく受け取った」
やっぱり麻美さん泣いちゃうんだ。
付き合いはじめもそうだったんでしょう?
うんざりした顔の先輩がおかしかった。


