ばかだな、わたし。
振り返ると、彼女はあの大きな目でわたしをじっと見つめていた。
隣りの宇佐美先輩になんて目もくれず。
「あなたには、謝らないから」
「……意味がわかりませんけど。いいんじゃないですか、謝らなくて」
わたしもあなたに謝るつもりはないのだから。
口には出さず、目線に乗せて。
わたしは今度こそ彼女に背を向けて歩き出す。
もうきっと、しゃべることもない。
彼女は以前の優しくて誠実なヤンキー先輩を取り戻して、幸せになるんだろう。
だからわたしは、謝らない。
そのあとずっと何かを考えこむように黙っていた宇佐美先輩と駅で別れて家に帰った。


