また冗談なのか本気なのか判断できないようなことを言って。
この人を本当に好きになってしまったら、きっと苦労が絶えないだろうなと思った。
本人には絶対に言わないけど。
怒られるから。
「杏ちゃん。ちょっとお話ししていかない?」
「話し? どこかお店で?」
「いや、学校で」
なに言ってるんだろう。
わたしも宇佐美先輩も、帰り仕度はどうみても整ってるのに。
「なんで?」
「大好きな杏ちゃんともうちょっと一緒にいたいから」
「そういうのはいいです。わたしは早く帰りたい」
ヤンキー先輩と、今日はもう顔を合わせたくないし。
早く帰って失恋の痛みにどっぷり浸って、泣いて、チョコレートを食べて、自分を慰めたい。
「いいじゃん。ちょっとくらい」
「やだ。帰る」
「はあ……わかったよ。じゃあ一緒に帰ろう」


