「……なに。くるくる、宇佐美が気になんの? やめとけ。あいつ女癖悪ぃから」


「へっ!? あ! そうじゃないです! そういうんじゃなくて! 違いますから! 全然そんなんじゃないですから!」


「あ、そう。そんな必死になって否定しなくても」



苦笑いしたヤンキー先輩に、わたしは顔が熱くなるのを感じた。

ちょっと焦り過ぎたかも。


でもヤンキー先輩に変に誤解されるのは困る。

あれ……困るの?




「あー、そうだ。くるくる。昨日のアレ、美味かったぞ」


「え? あ、シフォンケーキ、食べてくれたんですか!」


「おー。ああいうのならイケるみたいだわ。あんま甘くなかったし」



そっかー! 良かった!

先輩の口に合ったのも嬉しいけど、わたしが作ったものを先輩が食べてくれたってことがとても嬉しい。



「か、彼女に作ってもらったりしないんですか?」


「あー……前にチョコの塊りみたいな甘ったるいもの作ってこられて、もうこういうのいらねぇって言ったら作ってこなくなった」


「えー! そんなこと言っちゃったんですか? ひどいなあ」