実は彼女とは同じ電車なのに、いまだに一緒に帰ったことがない。

もしかしなくてもわたしは避けられている。


須賀ちゃんは気にするなと笑ってたけど、私わたし山中さんと同じクラスでもあるわけで。

もう少し仲良くできればなといつも思うんだけど、そう上手くいかないものだ。



食欲も沸かなくて、自分の分のシフォンケーキは持ち帰ることにした。


味見したら甘さ控えめに出来ていたから、たまにはお父さんにあげるのも良いよね。
きっと喜んでくれる。


そうやって無理やり気分を上げて駅に向かうと、ホームのベンチでまた会った。



「あ。ヤンキー先輩」



長い脚で隣りのお友だちを蹴りながら笑っていた先輩は、わたしを見て鋭い目を丸くさせた。

その表情、ちょっと可愛いです。



「おー。くるくるか」


「ちょ、それっ。くるくるってあだ名にする気ですか?」


「お前だって俺のこと、アホみたいなあだ名で呼んだだろ」


「だって先輩、ヤンキーじゃないですか~」


「だからヤンキーじゃねぇって。お前だって間違いなくくるくるだろ」