「ところで、杏ちゃんひとり?」
「それが、友だちと来たんですけど、わたしだけはぐれちゃって」
スマホを確認したけど、まだ皆着信があったことに気付いてないみたい。
わたしがはぐれたことにも気付いてないのかなあ。
「電話は?」
「かけたんですけど、皆気付いてないみたいで。
あ、でもそのうち気付いてくれると思うから……」
なんだか急に、切なくなってきた。
ヤンキー先輩はいないし、須賀ちゃんたちとははぐれちゃうし。
たこ焼き落として自分の服は汚しちゃうし、他人の服まで汚しちゃうし。
それに皆電話に気付いてくれないし。
宇佐美先輩はなぜか優しいし……。
つい泣きそうになってしまって俯くと、頭にぽんと、優しく手が乗った。
「じゃあ迷子の杏ちゃん。一緒にお友だち探してあげようか?」


