さよならでも愛おしい


 強がり、だろうか。

 君はとっくに俺を過去のものにしてしまったのかもしれない。

 だけど、君の声が震えていたから。

 俺は泣いてしまっていた。

 視界にちらつく雪が煩わしい。

 君はもう、ウサダーを抱きしめて一人泣いたりしないのだろう。

 一歩を踏み出した君は、俺との別れをバネにまた羽ばたいていく。

 …俺一人残して。