若ちゃんの誕生日の朝。 出勤準備万端の若ちゃんと共に玄関をでた。 「行ってきます」 二人で無人の部屋に声をかけ、鍵をしめる。 しばらくダラダラと喋りながら別れ道で互いに行ってきますと言って反対方向へ歩き出した。 若ちゃんと一緒に家を出ることは久しぶりで、浮かれていた俺は、不意に見せた若ちゃんの悲しそうな瞳に気付けなかったんだ。