さよならでも愛おしい


 若ちゃんが帰るまでには切り替えよう。

 そのためには濃いコーヒーが必要だ。

 キッチンに向かった俺はお湯を火にかけようとして、止まった。

 目の前には腕時計と携帯、これは若ちゃんのモノだろう。

 届けに、行くべきだろう。

 きっと困っているだろうから。