「違うの…よくある…でしょ?出世に邪魔な人をお金で……みないな?」


「俺はしないから…出世って言っても副がとれるだけだし、俺は美玲と結婚できなきゃ死んじゃうし……誰にも文句なんか言わせないような働きしてきたから大丈夫だよ」


自信家だね。


信じてる、一君はやると言ったらやる凄い人。


だけど、一度植え付けられた記憶は消せなくて似たような出来事があれば蘇ってくる。


今度は耐えられない


「そろそろ着くよ。
やっぱり美玲は赤が栄えるね…」


そう言うと胸にキスマークを付けた。


「一君!?」


「俺の…美玲が不安にならないように一生消えなきゃいいのにな」


「あ…「お着きになりました……一寿坊ちゃま、女々しいですよ(笑)男は黙って“俺に付いて来い”位が宜しいですよ」


昔から俺の運転手で相談者は偶に厳しい。



「すがりついてでも美玲は離したくないから。女々しくてもいいよ。
迎えは明日、7時に宜しく……いつもありがとう」


「有り難きお言葉こちらこそありがとうございます」


会場に入り息を呑んだ。






「藤崎…浩輔」








なんで……息苦しい。


「親父の後輩らしいんだけどね、あまり良い噂聞かないけど、この先のために顔売っとかないと…嫌だけど」


「……」


「美玲、大丈夫か?顔色悪いぞ」


「ちょっと…トイレ」


と、振り返った時に




“ドンッ”




もう、嫌だ。


目の前に過去1回会った事のある顔が


「やぁ、高原先輩の息子さんだね…昔の先輩に似てるな」


出来るだけ目を合わせないようにしてよう。


「面と向かってでは始めまして・・・高原一寿と申します。
貴方の活躍ぶりは父やメディアで…今後もご活躍を健闘お祈りいたしております」


「はははっ、固い挨拶は抜き抜き…おっと、そちらのお嬢様は君の恋人かい?」


「いえっ婚約者です。美玲?大丈夫かい?さっきから体調が優れなくて」


一君ナイス!


少し下を向き


「は…始めまして、美玲と申します。
こんな素晴らしい会場を目の前にして目眩でもおこしたのかしら」


逃げられるか?


「はははっ、ユーモアがあって良いですな…そぅそぅ、私の息子もこの会場に付いて来てるんだが……ドラ息子でね、困ったもんです
高原先輩が羨ましいです」


あらチャンが……居る……。







そこに






「親父、俺帰るわ…あっ!高原一寿…さん
俺、あんた知ってるよ。
インテリイケメンで有名だよね?」


久しぶりに見たあらチャンは見てくれは変わらないが、なんか知らない人だった。