もう昔の事




過去は振り返らないって自分に約束したじゃない。














「ふ~ん声がねぇ~…」



これから先、不意を突かれたらさっきみたいに動けなくなる。



「引きずってるって言うかトラウマかも」



「そうだね…」



「それはそうと、七子の話って?」



「……長くなるよ?」



「いつもでしょ?」



「泣くかもしれない」



「聞くしかできないかもよ?」



「…私ね、課長と付き合ってるの」



!!ビックリした。



「知っての通り課長は妻子持ちでね…」



最近彼氏がいない?って思ってたんだけど



「ビックリでしょ…」



苦しそうに笑う七子に私の心臓はギュッてなった。



「始まりは元カレと別れて堕ちてた時」


若手俳優と長く付き合っててそろそろゴールかな?って思ってた矢先に別れてしまい沈んでた時があった。



「今更なんだけどさ、元カレと何で別れたの?」



「浮気から始まってね…違法にまで手を出しちゃて」



終わるわね。



「嫌いになれたら良かったんだけどさ…辛くて辛くて会社で泣いてたら課長にみられちゃって…」



私、七子の何を見てたんだろう…友達なのに。



「…七子、何も出来なくてごめん」



「美玲も本調子じゃ無かったしさ…」



「ごめん…」


「誤んな!その気持ちだけで良いよ!……でね、弱ってたから優しい課長の言葉にキュンって…最初は振られててさ“無理”なんて言葉その時はなくてさ…付き合えた時も嬉しさのあまり泣いちゃってね~子供みたいだったって言われた…あの時わさ、先の事なんて考えてなかった」


話の流れで考えると…



「奥さんにばれたの?」



「ううん。潮時かなって…最近自分が我が儘すぎで、先を望んじゃって…」



「……」



「最後は良い女で居たいから」



七子がそうと決めたならもう…。



「良い女だよ七子は!」



「明日は課長の誕生日で明後日会うの…その時別れる」



泣きながら決意を固めた七子を抱き締めて、
やっぱり良い女だと思った。



その夜は狭いベットに2人寝た。


色々話した。


翌朝


「七子!私、もう行くから鍵かけてお昼休憩の時返してね!」



「りょ……か…」


朝が弱い七子を置いて副社長の億ションへ



“ポ~ン”



エレベーターが最上階に着いてビックリ



「高級ホテル並!」


漫画のごとく大理石の床に大きな扉、廊下?には高そうな絵画が飾られていた。



「流石」



カードキーを差し込んで更に暗証番号に指紋認証と高度セキュリティーを潜り抜け中に入ったらやはりホテル。


空調完備に360°見渡せる分厚い窓ガラス。


こんな良い処に住んでいて何故、目の前の男は玄関で毛布にくるまって寝ているんだろうか?