「さてっ、食事にでも行きますか…社長は?」
帰ってこない、親父までも。
「一寿…今社長から連絡があって“先に行ってる”って」
「そうですか」
昼食場所に着いたら驚いた。
「類喜…」
「あれっ?太一じゃん!何何何?一が呼んだの?」
「さぁ、役者は揃いましたので食事にしましょう」
役者が揃った?
高原さんの婚約者になにすんだ?
「一「せめてもの恩返しだよ…他に何もできないから」
苦しそうな顔すんな…その顔、高原さんソックリなんだよ。
「一?俺、諦めようと思ってる…そらはね負い目を感じてるんだよあの家で。
本当はね一の母親と昔から付き合ってたらしいんだ、
本人達は結婚するって思ってたのにね経営難でそらの母親と政略結婚したまでわなんとなくわからなくもないが
「それと、そらと類喜君のは全然違うよ。
俺は類喜君にも恩返ししたいと思ってるけどね…
俺を始めて1人の人間として視てくれたそらにちゃんと借りを返したいんだ。
俺には見せてくれたこと無いけどこの先一生を笑顔で笑ってて欲しいから」
なんかこの姉弟って
「この姉弟ってハンパないですね…家族に貸し借りなんか存在しないのに」
「高原は家族じゃないんだよ俺が生まれたときには既に」
「でも、本人達は家族って認めてるんじゃないのか?話聞いてて俺は思ったけど?」
「太一、折角本人達に気づかせようとしたのが台無し…そらは元々ツンだけど、一もツンだなんて」
「ちょっちょっ…さっきから何言って…」
「姉弟揃ってツンデレって事」
類喜は笑った。
いつの間にか素に戻ってる一寿
「そらは寂しがり屋だから構ってあげないと死んじゃうんだよね…でも、一のやる気と社員の為にって…別に不倫して構わないみたいなんだ相手の人…」
幸せじゃない結婚なんか祝福できないししない。
だから、類喜君と一緒になって笑って欲しい。
「兎にも角にもこれから恩を返すから幸せになって」
お座敷に行き婚約者に白紙にするように頼んだけど断られた。
「高原の坊ちゃまはおかしな事を言いますな?社長?」
噂に違わず気持ちが悪い顔だ。
脂性なのか多汗症なのか光ってるし、スーツがパッツンパッツンにその無精髭、自分は似合ってるとでも思ってるのか?
「ハハハハッ、坊ちゃま…って良い眼科紹介しますよ?貴方の過去歴を洗いざらい調査させて頂きました」
この顔、怒ってるよ

