虹になる日がきたら



そして日本に帰国した社長と俺に待ちかまえていたのは



「親父」


「「よう」」


「ただ「わざわざ空港まで何の用で?」


「自分の息子の迎えに出向いたらおかしいか?」


猫っかぶり?


「……いえっ、わざわざご足労申し訳ありませんでした。これから本社に顔を出そうと思っていたんですよ」


違う…他人行儀


「そうか、これからそらの見合い相手に逢うのだろう?私も同席して構わないか?」


「えぇ。相手に大して用は無いんで会話を弾まして下されば幸いです」


「……」


この居たたまれない雰囲気なのは何故だ?


「太一、これから先は「佐原も一緒で構いません。高原一寿として帰国したのではありませんし」


だから“猫っかぶり”だったのか。


「しかし「佐原は世話係なんですよね?こうしてる間にも給料は発生してるんです」


俺の親父は頭を下げた。



空港を出て本社が有る場所まで車で移動


「あんな言い方してすみません」


「親の前でも猫っかぶりしてるのですか?」


「…あれが我が家の会話なんです。物心つく頃には父親は“会社の社長”でそらの母は居なくて、僕の母は亡くなったと解った。その後に敷きたりや跡継ぎやなんやらで家族って物がなんなのか解らなくなって……あぁ~暗い話をしてしまいましたね。そろそろ本社に着きますね」



本社では重役と秘書の数人しか知らない高原一寿の跡継ぎ存在


まず、面白いことに警備員さんに足止めくらわされて身分証を提示してそらさんを呼び出させた。


「何をしてるの?」


身内だと思って警備員が怒られたのかと思いきや


「大分前に社員証を支社に発送したわよ?」


一寿が怒られた。


「前の秘書が無くしたのでしょうか?」


仮面を被ってる。


「…佐原君お疲れ様。どう?向こうでの生活は?」


「…手の掛かる弟に毎日振り回されてるけど、毎日充実してます!それもコレも高原さんと類喜のおかげかなぁ?」



「…そぅ、未だ社長は帰ってきてないわよ?」


「空港で会いました。ここに来ることも言ってあるんで平気ですよ。ここに来ても僕の存在無いんで早々に立ち去りますよ…」


あっ…そう言えば


「高原さん、ちょっと聞きたいことがあるんです」


一寿の友達に関して


別の部屋に行き聞いてみた。


「リストに入ってない友達?……居るのかもしれないわね…少しの間家に帰ってこなかった日が有ったから」


支社に行く少し前の話だとか