目が覚めたら


「気が付かれましたか?」



病院だった。



「目覚の景色は女性が良かったですね」


「良かったです」


「それで、僕に何を飲ましたんですか?」


「…仰ってる意味が分かりませんが?」


「しらをきるつもりですか…大抵、仕事で関わった人間は忘れないんですが。元はと言えば親父が招いた事」



あれは確か……


「あぁ~その事は大して問題でわないんです。社長は最善の道を自分達に進ましてくれたのですから、俺は貴方が招いた事に虫酸が走りました」


僕が招いた事…。


「あの時は」





佐原は僕がわすれていた事を細かくそして鮮明に思い出させてくれた。




まだ、高校生だった。




その日の僕はぼろぼろだった。
普段から体調管理はちゃんとしていたのだが、風邪が流行っていた事に付け加え毎日徹夜でプレゼンの準備で身体が悲鳴を上げた。



「一寿、今日のプレゼン何としても物にしろ!ウチの一生がかかってる」



「分かりました」



世間一般は我が家では通用しない。


親の優しさなんか知らない。


あぁ~だるい。


自室から出て調理場へ行きコックの葉山さんに事情を説明したら解熱剤をくれた。


「坊ちゃま…お休みする事はならないのですか?」


「社運がかかってるみたい。それにこのプロジェクトは僕の第一歩なんだ。全力でいかないといけないんです。それでダメだったら潔く跡継ぎを辞退しようかなって」


「そんなっ!坊ちゃまがこのお屋敷に居なかったら皆悲しみます」


「僕が跡継ぎって訳じゃないだろ?」


何人か義理の兄弟が居ると使用人が昔話していた。


次の日には居なくなっていたが。


「まだ信じてらしたんですか?旦那様は昔から奥方様一筋です」


どうだか。


「早くに奥方様が亡くなり苦労して一寿様の「止めてくれ、僕にはその記憶がないんだ。親父は僕には“無”なんだよ…」


「坊ちゃま…」


「!薬ありがとう。今日頑張ってくる」


「では、夕飯は坊ちゃまの好物を」


「葉山さん、ありがとう」


貴方みたいな人が父親なら良かったのに……っと何度か思った。