「初めまして、蘭治です」
「鞍橋です」
「こいつが迷惑かけてないですか?」
「いえいえ!相談に乗って貰ってたんです」
「退院するまで暇な奴だから相手してやって下さい」
「こちらこそ宜しくお願いします」
「外面はいいのよね」
「うるさいよ七子!クソ忙しいのに来てやったんだからありがたく思いな!」
「へ~へ~へ~ありがじゅー」
2人のやり取りが可笑しくて久し振りに笑った。
蘭治が帰った後もブーブー文句を言う七子を見て又笑った。
「芸能人初めて見た!」
「本当!?蘭治が最初って可哀想でしょ!」
そんな話をしてたら七子のメール音が鳴りみたら…
“七子!今噂したろ!”
スゴッ!!
「盗聴器でもあんの!?」
まさか
“くしゃみがでたぞ!七子しかいないだろ?”
「幼なじみって厄介だよね…昔から知ってるからごまかしが効かないんだもの…」
長く居れば居るほど離れられない…あらチャンと一緒。
そこに看護士がやってきて
「鞍橋さ~ん診察の時間ですよ~」
「頑張って」
「うん。行ってきます!」
経過も順調で今週末には退院できるみたい。
ただ、産婦人科には月一で通わなきゃ行けなくなった。
これは私への罰。
大切な命を粗末に扱ってしまった事。
人の人生を台無しにしてしまった事。
病室に戻ったら知らない男性が居た。
「貴女が鞍橋美玲さんですか?」
威圧感がハンパない。
「弁護士の安田保と言います」
弁護士?
「新坊ちゃんの事で、お父上からコレを預かってきました」
茶封筒に入った分厚いソレ
「そして一通の手紙です」
受け取れないよ…。
「少しは世間体と言う言葉を学んで下さい」
困り果てた私に七子が
「子供は一人じゃ出来ないし、最後まで顔を見せない男に体事傷つけられたんだから慰謝料変わりに貰っときなよ。通院しなきゃいけないんだし。病院代」
サバサバした性格の七子
「この先、新坊ちゃんの未来を考えて下さるなら受け取って下さい」
頭を下げられた。
「わかりました」
受け取ったら帰っていった。
「金持ちはムカつくね…まだ好きなの?」
わからない。
「時間がいっぱい有りすぎたかな…こんな事になったのに嫌いになれない」
年と同じだけ一緒に居たこの時間は無駄にはなってない…って思いたい。