ドンッ
ドンッドンッ
準備室の窓を叩く音
「?誰かいるの?」
太朗の姉さんが首を傾げる
でも、俺はなんとなく分かっていた
この窓の向こうに居る人物が誰なのか
俺は窓に近付いてカーテンを開ける
「え?!女の子?!」
後ろで驚く太朗の姉さん
窓の向こうには…
涙でグシャグシャのリスが居た
少し戸惑いながら窓を開ける
すると、リスが叫んだ
「やだ、やだ、やだぁ!!楓くんのお菓子を私以外の人にあげないでぇ!!」
泣き叫ぶリスの姿に
俺も、太朗の姉さんもポカン
「…くっ…くくっ…あはははっ!」
次は太朗の姉さんがいきなり笑いだし
俺と、リスがポカン
「よく分かんないけど…大丈夫だよ?このケーキは楓くんの手作りじゃないから」
「へ…?違うの?」
太朗の姉さんの言葉にリスが驚く
「あれは、うちの店の商品。俺の家、ケーキ屋だから…俺はソレを配達しただけ」
「え…そ…なの?」
リスは状況処理が追い付かずフリーズ
「じゃ、帰るね楓くん!ありがとねー」
その間に太朗の姉さんは退場していった
シーンと静まり返った部屋に残された俺と、窓の外の木に股がったリスだけが残された


