「…………」 「いっ、た!」 間髪入れず、俺は拓弥の腰に蹴りをいれる。 嫌な予感は的中だ。 何が、旦那だ。 ふざけんなよ、拓弥。 「かなで、とりあえず始めるぞ」 「は、はい!あの、聞いてください。一曲目。私たちが初めて合わせた曲。ユメです!」 腰に手を当て、定位置に戻る拓弥。 会場に手を振りつつドラムの前にスタンバイする望。 そして、ギターを構え準備する俺。 かなでの声を皮切りに、望のスティックがリズムを刻んだ。