「ねぇ…何か聞こえない?」 片方の耳に手を当て言う望。 「何かって何だよ…」 「何か、歌う声が…」 望の言う通り、耳を澄ませてみると、微かにだが歌声が聞こえてきた。 その歌声は透き通る水のように綺麗で。 微かにしか聞こえない歌声にも関わらず、俺はそれに聞き入っていた。 綺麗で透明な人を惹き付ける歌声。 「すごい…」 望が呟く。 篤の歌声とは違う、女の子らしい綺麗な声。