「ヒーロー…とか、どうでしょうか?」
そう、微かな声で聞こえてきた。
その言葉はちゃんと全員の耳に届いたはずだが、俺を除く他の二人は反応を見せない。
再び、沈黙が訪れた。
ハッと一番最初に我に返ったのは望だった。
「いい!それ、いい!その発想はなかった」
「ヒーローってガラか?」
「そこはまあ、ね。かなでの意見だし。いいじゃん」
この流れだと、そのあだ名で決まりみたいだな。
俺としてはどうでもいいが。何とでも、好きに呼べばいいさ。呼びやすいように。
ヒーローか…岡本は何を思ってそう呼ぼうと思ったのか気になるところだが。
こうして、この日はそれぞれの呼び方が決まった。
待てよ。俺は岡本の事、このまま岡本と呼んでいていいものか…
悩みの種が一つ増えたのもまた今日だった。


