「あの、私…」 鈴木くんの近さに決意が緩む。 その事に気付いただろう宮田さんが鈴木んを引っ張り離してくれた。 「ゆっくりでいいからね」 「は、はい」 その言葉を聞いて、もう一度深呼吸を試みる。 肺一杯に空気を吸い、ゆっくりと吐き出す。 そのおかげか、少し緊張が解れたような気がした。 言うなら今しかない。 今を逃したらもう、言う事なんて出来なくなるだろう。 「私、ボーカルやります。いえ、やらせてください…っ!」