それから。

あたしは書類を片付けて、バッグに詰めた。

片桐くんに、先に帰りますって書き置きを残して、

一人で校舎を後にした。


可愛くてお気に入りだった、黒地にピンクのリボン模様の折り畳み傘。
その下にいる自分がすごく情けなかった。


『男好き』

『ポイ捨て』

『最低な女』


相沢くんの言葉がぐるぐる回る。



あたしに、罰が下されたんだ。
今まで、ゲームなんて言って人の心で遊んでいた、罰。


相沢くんは、あたしに怒っていた。
多分、あたしの噂を聞いたんだろう。

男好きとか、言われてもおかしくないもん。
だって、遊んでいたのは事実。

軽蔑されても、仕方がないよ……。


『俺に近付いたのも遊び気分か』


罰だね。
こんなあたしだもん。

本当の気持ちを伝えたって、信じてもらえなくて当たり前だ。



そう、今までのあたしが悪いんだ。

仕方ない。


でも。







「本当に、好きなのに、なあ……」






涙が溢れた。